シティプロモーションの事例紹介

8年連続の人口増加中の明石市役所の市外向けのプロモーション(後半)

明石市役所 政策局シティセールス推進室シティセールス課

明石市役所 政策局シティセールス推進室シティセールス課

 今回の事例紹介は、多種多様な市外向けプロモーションを行って、8年連続で人口増加を達成している明石市役所にお伺いしました。
 前回は実際の施策や取り組みの中の工夫についてお聞きしましたが、今回はどんな戦略や組織で実現しているのかについて伺いました。

明石市役所 政策局シティセールス推進室シティセールス課長の藤田さん(写真右)とシティセールス課係長の白江さん(写真左) 

シティセールス課はいつできたのですか?

 2015年4月に広報課内に3名体制でシティセールス係が設置されたのですが、その年の7月に5名体制のシティーセールス課となりました。

たった3ヶ月で係から課になって人員も増やしたのですね。

 4月の人事異動が一般的ですが、本市は期中でも人事異動があることは珍しくありません。同時に、目的に合わせてプロジェクトチームを組むことも多く、そのプロジェクトの目的が完了すると、他の課に戻っていくということもよくあります。

ここまで人事が流動的なのは、自治体の組織としてはだいぶ珍しいですね。

 今の市長が就任してから、特にそうなりました。本市ではシティセールスだけでなく、他の課の施策もメリハリをつけて行っています。重点的に行うところには、人員も予算も多くなります。そういったところも他の自治体との差別化に繋がっていると思います。

今年から天文科学館もシティセールス推進室になったそうですね。これも珍しいと思います。同じ室になって変わったことはありますか?

 天文科学館はイベントが多いので、今までもシティセールス推進室とやり取りはとても多かったのですが、同じ室になったことでより連携しやすくなりました。同じ部署となることで、情報も早くから共有できますし。

(官民協働の事例紹介 明石市政策局シティセールス推進課提供)

 2020年度は天文科学館60周年・時の記念日100周年という年に当たり、天文科学館公認のキャラクターと山陽電車とのコラボ電車を走らせることができたのですが、これも同じ部署になったことがきっかけで実現しました。山陽電車との共同事業ができたおかげで、姫路から大阪の間の山陽電車で掲出料をかけずにPRすることができました。

数値目標などは設定しているのでしょうか?

 シティセールス推進室だけでなく、市役所全体としてですが、トリプルスリーという数値目標を掲げています。
トリプルスリーとは下記の3つの3を達成することです。
1つ目は「人口30万人」
2つ目は「出生数を年間3,000人」
3つ目は「本の貸し出し冊数を年間300万冊」

とてもわかりやすい数値目標ですね。達成状況はどうでしょうか?

 お陰様で3つ目の本の貸出は達成しました。人口と出生数はまだですが、徐々に目標に近づいております。

それも素晴らしいですね。シティセールスの戦略を設けている自治体は多いですが、明石市ではありますか?

(シティセールス課のミッション 明石市政策局シティセールス推進課提供)

 本市では戦略は特に設けていません、その代わり私たちにははっきりとしたミッションがあります。
「移住定住人口の拡大」「観光=交流人口の拡大」「ふるさと納税の黒字化」です。ミッションがはっきりしているので、戦略を設けなくても課内の方向性はぶれることなく進めることができています。

ミッションもそうですが、取り組みはどなたが考えるのでしょうか?

 ミッションはトップから伝えられます。取り組みについては、私たちが考えることもありますが、市長を含めたトップの方からトップダウンでくるものも多いです。市長は他自治体や外国の事例などをヒントに明石市に置き換えて考え、いろいろなアイデアを出してくるので、私たちはそれを形にしていくことが多いかもしれません。

数値的な実績を含めて、私から見るととても順調そうですが、課題などはありますか?

 私たちもまだまだできていないので、もちろん課題はあります。課題は大きく2つです。まず、私たちは他の自治体に比べて優位性があるところを積極的に情報発信していますが、他の自治体も同じ優位性をPRし始めると、こちらの優位性は薄まってきてしまいます。ここについてはもっと考えていかないといけないと思います。
もう1つは、現在うまくいっている取り組みの見極めです。市民ニーズを的確に捉えて、選択と集中をすることが必要だと思います。