シティプロモーションの事例紹介
岩手県北上市のインナープロモーション施策の効果測定と今後の展開
北上市企画部都市プロモーション課
前回は北上市が取り組む市内向けのプロモーション(インナープロモーションの概要)について伺いました。今回は北上市の市内事業者との連携方法、効果測定、今後の展開について聞いています。
北上市では市内向けのプロモーションに力を入れているだけあって、市内の事業者さんとの連携が多くみられますね。
そうですね。周年記念協賛事業として市制施行30周年記念に市内のお菓子屋さんに「しらゆりプリン」を作っていただいていますし、先ほど話したフォトコンテストの審査員も地元在住の写真家さんです。「北上市展」でも地元のショッピングセンターに協力いただいております。現在製作中の市のプロモーション動画にも元ボクシング世界王者の八重樫東さんに登場いただいたり、市内で活躍している書家さんや高校生、ダンスチームにも参加いただいています。
市内の事業者さんとの連携をしたくても、なかなかできていない自治体の話も聞きます。北上市は、どうやってつながって実現させているのでしょうか?
先ほど話したトリプルアニバーサリーが始まるということもあったので、市内の多くの事業者さんに「なにか一緒にできませんか?」と電話で連絡をしました。ちなみに、「しらゆりプリン」などは、都市プロモーション課の職員がお菓子屋さんに飛び込みで行きました。とりあえず、断られても良いので話を持ちかけて、後から向こうから「これってどうでしょうか?」と企画を持ちかけてもらえることもありました。
当たり前に話されていますが、営業の電話を入れたり飛び込みをしたりする行動を行うのは、難しいと思います。
そうなんですかね。他の自治体さんのことはわからないですが、こちらから伝えていかないと市内の事業者さんは市の戦略を知る機会は少ないと思いますので、私たちは積極的に行動しています。それと、市の事業以外でも協力し合うことにしています。例えば市内のダンスコンテストやJ Rさんの階段アートなどに、協賛事業という形で協力して事業者さんとの関係性を構築するようにしています。
効果測定や指標についてお聞きしたいと思います。北上市ではコミュニケーションプロセスに合わせて、フェーズごとに指標を設けていますね。
そうです。北上市都市ブランド推進行動計画では「認知獲得・興味関心」、「共感醸成・当事者化」、「魅力拡散」、「シビックプライドの醸成」に分けて、成果指標を設定しています。
都市ブランド推進行動計画の最終年度ですが、数値的にはいかがだったでしょうか?
現状分かっている数値がこちらになりますが、ホームページとブランドサイトの閲覧数、S N Sの反応、いずれも増加傾向になっています。さらに日経B P総研さんの働く世代への「シティブランド・ランキング 住みよい街2020」では県内1位、北海道・東北エリアでも7位になりました。
すごい結果ですね。これらの結果を通してどのような課題が見えたのでしょうか?そして、次の戦略の方向性はいかがでしょうか?
現段階の課題は3つあります。1つ目はブランドサイトの直帰率です。サイト自体のアクセス数は増加傾向なのですが、ブランドサイトのトップページだけ見て離脱してしまう方が60%台となっています。ブランドサイトの内容の見直しなどを行うなどの改善は必要です。2つ目は、市民参加型の魅力発信の不足です。冒頭でも話しましたが、私たちは役所からの発信ではなく、北上市民お一人お一人から市の魅力を発信していただくことを理想の形にしています。ところが、行政発の取組が多くなってしまい、市民発の取組となっていません。市民参加型の魅力発信を仕掛けていきたいと思います。最後は、シティプロモーションの対象範囲についてです。私たちのシティプロモーションは市民に向けた施策をメインとはしていますが、市外の方々に向けても行っているため、どうしても対象範囲が広くなり、メリハリができていません。そのため、効果が分散しています。ここに関しても今後改善が必要となると思っています。