シティプロモーションの事例紹介
「素通り禁止!足利」で有名になった市外向けPRから、現在のシビックプライドの取組
栃木県足利市 総合政策部 まちの魅力創出課
今回の事例紹介は栃木県足利市にお伺いしました。(今回の取材も東京が緊急事態宣言中のため、残念ながらオンラインでの取材です。)
足利市と言えば、「素通り禁止!足利」などのキャッチコピーやロゴマークが有名です。意外と知らない方も多いですが、早い時期から戦略策定もしっかりとされています。今回はその辺のお話を伺ってみました。
足利市と言えば「素通り禁止!足利」のキャッチコピーとロゴマークが有名ですよね。
ありがとうございます。足利市のシティプロモーションの最初の戦略「足利シティプロモーション基本方針」を作った翌年度、平成29年1月に作りました。このキャッチコピーとロゴマークは、市民11名で構成されたシティプロモーション推進協議会が主体となった市民ワークショップのアイデアから生まれました。
「禁止!」という言葉がだいぶ強いので、私の頭の中に残っています。
最初の戦略である「足利シティプロモーション基本方針」の頃は、まずは「足利市の認知度を上げよう」という目標だったので、その意味では興味を持っていただけました。しかし、使っていく過程で「禁止」という言葉が尖っているため、長期間継続的して発信していくことでマイナスの印象が伴ってしまい、どこかで次の展開に移行しなくてはという思いもありました。
「認知度拡大」と「ブランドイメージの構築」の両方を満たすキャッチコピーは難しいですからね。
そうなんです。どうしても「認知度拡大」というと、話題性が出そうなキャッチーな言葉を選んでしまいますが、それが市のブランドイメージと合うかは違う問題だと思います。
当初の「認知度拡大」の目的ですと、メディア露出がだいぶ上がったようですね。これは何か工夫などはありましたか?
テレビの情報番組や雑誌やラジオなどに足利市を取り上げてもらうために、パブリシティ活動はかなりがんばりました。取材の問い合わせが来たら、忙しい時でも遅い時間でも、できる限り返信をしたり、取材班の人たちが良い取材ができるように事前手配を丁寧にやりました。それらを続けていると、企画や取材の手配をしているA D(アシスタントディレクター)さん達と関係性が構築できてきて、翌年も同じ番組で取り上げてもらったり、別の番組でも取材していただいたりと良い流れができました。
「取材に困ったら足利市!」みたいな考えがA Dさん達の間で認識されたのかもしれませんね?
本当そうなんです。何かネタに困っていると、連絡をいただけたり。その積み重ねで、広告換算価値は4倍近くに伸びました。
現在はどのような事業に力を入れているのでしょうか?
市内の高校二校に協力いただいて、「あしかが高校生クラブ“あしもり隊”」というチームを作り、若者目線で市内を盛り上げ明るくする活動をしていただいています。一つの高校では、駅前での若者の集いの場を作ることを目的に、11月5日に足利駅北口駅前広場にキッチンカーを誘致してイベントを開催しようとしています。
また、両校の共通の活動として、まちを明るくすることを目的に、メンバーのデザインでラッピングされた生活路線バス4台が今月22日から市内を走り始めています。
先程のロゴマークの話とも繋がるのですが、足利市では足利のシビックプライドを表す新しいメッセージを市民投票で決定し、それをロゴマーク化したものを足利を盛り上げる活動(=あしもり活動)シンボルとして、今月の15日に発表しました。その記者発表でも「あしもり隊」のみんなが自ら発表してくれました。
高校生でそれはすごいですね。どうして高校生なのでしょうか?
私たちは「足利シティプロモーション基本方針」の次に、「これからの足利シティプロモーション2019」という新しい戦略を策定しています。その戦略に沿って、「シビックプライドの輪を広げる」ことを目的としています。
これからの未来、定住や関係人口の増加も視野に、足利市に携わることが多い高校生達のシビックプライドを高めることが重要と考えて、重点的に行っています。今後、足利を出て他の地域で活躍していく子どもたちも、少しでも足利に思いを寄せてくれたらいいなという長期的な願いも込めています。
この施策をして何か変わったことはありますか?
まだ始まったばかりの施策ですが、一番大きく変わったと感じるのは参加する高校生達です。プロジェクトが進むに連れてどんどんと積極的になり、アイディアをどんどん出してくれるようになったので、高校生達のシビックプライドの醸成には繋がっていると思っています。担当している私たちもやりがいを感じているので、今後もこの輪を広げていきたいと考えています。