シティプロモーション(シティセールス)の効果測定(成果指標)とは?

自治体がプロモーションの効果は何で測れば良いのか??

民間企業のマーケティングやプロモーションは、売上向上が最終的な目的になっていることが多いです。そのため、プロモーションを行うことによって、売上が上がらないと意味がありません。逆に言えば売上さえ上げてしまえば成功です。

このように民間企業のマーケティングやプロモーションの成果指標や効果測定はそんなにも難しくありません。一方で、シティプロモーションやシティセールスになるとどうでしょうか。
正直、何を成果指標にして効果を測定していけば、急に難しくなります。実際に悩んでいる自治体の方も多いのではないでしょうか。

そもそもなぜ成果指標を設ける必要があるのか??

理由は以下の3つと考えられます。

  • 施策がうまくいっているかどうかを測ることができる
  • 施策がうまくいなかった場合は、改善する手がかりがわかる
  • 方向性が定まる

どんなプロモーションにも確実にコストがかかります。このコストは住民の税金から出ています。コストが正しいところに使われて、ちゃんと結果を出していなければなりません。仮に結果が出なくても、指標を設けることによって、何が原因でうまくいかなかったのかを探り改善しなくてはいけません。そして指標があることによって、担当するメンバーが何に注力して達成すれば良いのかがわかりやすくなります。

どんな成果指標を設定すると良いのか?

まずはあなたの自治体のシティープロモーションの目的をはっきりしてみてください。
シビックプライドの醸成であれば、市民のまちへの愛着度をアンケート調査したり、移住定住促進であれば、市外の人たちの認知度であったり、移住した人数になったりします。このように目的によって設定すべき指標は大きく変わります。まずは目的をはっきりして、その目的をどのぐらい達成できたかどうかを知ることができる数値を考えてみてください。

よく使われる指標の参考例

・市民意識調査(市民のまちへの愛着度)
市民を対象としたシティプロモーションをしている場合には活用できる指標。市民へのアンケート調査のため、市民意識調査などのような定期的なアンケート調査の中に項目として足せば良いので、比較的簡単にできる。郵送で意識調査を行っている場合は、回答者が高齢者に偏ったりする場合があるので注意が必要。

・広告換算価値
自分の自治体がどれだけマスコミに取り上げられたのかを、数値化できる指標。マスコミに取り上げる量が多くなれば、知名度や認知度は上がる可能性は高い。一方で、広告換算価値が高ければ、シビックプライドの醸成や移住者や関係人口が増加するかというと、その相関関係は不明である。
測定は、掲載された新聞のサイズやテレビの放映の長さを測ったりするだけなので、比較的容易。

・移住者数
移住定住の促進で使われる指標。直接的な指標のため、民間企業の売上のように納得性が非常に高い。一方でシティプロモーション活動以外の要因で、移住の増減がされる可能性も高いため、シティプロモーションを効果だけを図れるかの懸念はある。測定は容易。

・移住相談者数
移住定住の促進で使われる指標。移住相談窓口を設けている自治体で測定できる数値。移住相談に来る方は、何かしらその自治体の情報を見てからいく可能性が高いので、シティプロモーションの効果として測りやすい。一方で、移住相談窓口に行かずに、直接不動産家さんに行くケースも多いので、十分に測れるとは限らない。

・NPS®️(ネットプロモータースコア)
商品やサービスを購入した後に 「あなたはこの商品を同僚や友人にどのぐらい薦めたいですか?以下の0〜10の値から選んでください」というアンケートを求められたことはありませんか?これがNPS®️(ネットプロモータースコア)です。人は満足度が高くなると、人に商品やサービスを勧めたくなるという特徴を使っています。そのため、この値が高くなれば、商品への満足度がわかります。自治体で活用する場合には、このためにアンケート調査を取らなくてもならないので、その分手間がかかります。

・mGAP(修正地域参画総量)
東海大学の河合教授が提唱するシティプロモーションの成功指標。
(1)市民及びターゲットとする域外住民の地域推奨意欲の向上
(2)市民の地域活動への参加意欲の向上
(3)市民による地域活動への感謝意欲の向上
を、それぞれ定量化し、総合化するものである。
シティプロモーションでまちを変える(彩流社)より

上記以外にも「移住関係の補助金の活用数」、「民間企業との連係数」など、たくさんあります。指標は何が正解かというものはないと思います。
自分の自治体には何の指標にするのが適切かを考えることが重要だと思います。